
Q: 教育という分野について、黒沢さんにとってどのようなイメージを持たれていますか?
A: 実は、うちの父は教員で最終的には小学校の校長先生でしたし、母の方も先生一家で、親戚に教員が多かったんです。しかし、彼らは厳しく、怖い印象でした。
父は「学校」という世界しか知らず、自分の子どもと生徒の区別が曖昧で、家が学校みたいだったんですよ。
常に怒られる環境で育ったこともあり、教育というものにはちょっとアレルギーがあったぐらいの感じでしたね。
「学校の先生なんて信用できねえ」と、体制側に対するアレルギーがあり、その頃にロックンロールの精神が胸に刻まれました(笑)。「こんな勉強して一体何の役に立つんだ?」と典型的に思っていましたね。
Q: そのような教育アレルギーを持っていた黒沢さんが、弊社の「勉強を教えない」という軸やサービスに対して、何か思うことはありますか?
A: 正直なところ、井上代表と会うまでは、大学入試は昔と変わらず一般入試しかないだろうと思っていました。
ごく一部の優秀な生徒が推薦枠で入る以外は、ひたすら勉強するしかないと。
しかし、会ってみたら全然違うんだということに結構衝撃を受けました。
今の大学入試の情報量の多さには、高校生も親も処理しきれないと感じたんです。
だから、事業内容を見せてもらい「ああ、これなら確かに、あったらめちゃめちゃいいよね」と思いましたね。
親目線と子ども目線の両方で考えて、「親としてもこういうのがあったらすごく助かるな」という気持ちです。
何もしらなかったら「とりあえず塾に行かせとけばなんとかなるだろう」と思っていたでしょう。でもそうじゃない。もっと本質的な教育に、子どもたちが向き合うためのモチベーションを育むこと、それが弊社のサービスの本質だと感じています。

Q: アレルギーがあった教育観が、お子さんが生まれてから変わったというお話がありましたが、具体的にどのように変化したのでしょうか?特に、学びに対する考え方がどう変わったのか、お聞かせください。
A: この事業に参加することになったので、キャリアコンサルタントの資格も取ろうと思っているんですよ。
50歳を過ぎてから国家試験を2つも受けるなんて、と思うのですが(笑)、教育の本質がどこにあるのかということに、自分が子どもが生まれてからすごく直面することになったんです。
自分の子どものことなので、子どもの頃の自分のことを思い出します。
子どもができていいことって、親がもう一回自分の子どもの時代をやり直せることなんです。
大人になってからは全く目に入らなかった景色に、もう一回フォーカスするようになるんです。
「なんでダンゴムシがこんなに好きなんだ?」と、大人になったらまずダンゴムシに触れ合う機会も、ダンゴムシとワラジムシの違いなんて気にもしなかったのに、そういうことに目がいくようになるんです。
それと同時に、学問というものがどういうものかというのを、僕は発達心理学から入ったのですが、子どもたちが人間として成長していくときに辿る段階について、様々な研究者の方たちが実験やデータを取り、膨大なデータを積み上げてエビデンスを出していることを知りました。それが今も継続されて発達心理学という学問として存在している。それを土台にして、子どもの育て方、「こういうことがあると子どもに後々こういう影響が出る」とか、「良くも悪くもこういう傾向になります」とか、そういった先人たちの蓄積された膨大なデータがあるということを知って、そこにすごく興味を持ったんです。
まずは愛着形成というアタッチメント理論から勉強を始めました。
生まれてから3歳くらいまでの主に母子関係(養育者との関係)が、その後の子どもの人生にどのくらい影響するのか、ということをエビデンスベースでちゃんと知れると、安心できるんですよね。
全く分からないと不安だけど、知ってると「ああ、こうなっても今風なのがよく起きる時期だから大丈夫だ」とか、「対処の仕方はこうすればいいんだ」と理解できる。
子育てに対する不安が随分と和らぐ。これがまさに本質的な勉強であり、教育だと思います。

Q: 元々、勉強に対して懐疑的だった黒沢さんが、今こんなにも勉強されていると。黒沢さんが今、勉強を楽しいと感じる理由は何でしょうか?
A: そうなんですよ。
自分が気になっちゃうと、元々合理主義者だから、何でも自分が知りたいことに貪欲で、ずっと考えちゃうんです。
調べたくてしょうがなくなっちゃう。
そういう気質もあって、そこから教育というものに興味を持つようになりました。
今、新しい知識、専門的な知識がどんどん入ってきて、とっても勉強するのが楽しいんです。
こんなこともあるのか、こんなこともあるのかと日々驚いています。






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