【特別対談・第3回】「想像の範疇を超えたこと」が面白い――不確実性を受け入れる広大発スタートアップ役員・中谷雄登の未来論

「勉強の3年間」を経て広島大学に入学した中谷雄登さん。幅広く好きな授業を受け、一人で満たされた生活を送っていましたが、ある時転機が訪れます。第3回では、中谷さんがどのようにして株式会社スターベルズの活動に参画することになったのか、そして彼の哲学である「わからないからこそ面白い」という考え、さらにスターベルズの理念である「輝く人」の定義について語っていただきます。


Q&A形式:第3回 実行役員としての挑戦と「輝く人」の定義

井上(聞き手): 大学1年生の頃は、好きな授業を取り、割と一人の時間を満喫されていたということですが。大学2年生で教育系のサークルに入られたのはなぜだったのでしょうか?

中谷: 1年生の頃は、燃え尽き症候群じゃないですけど、それに近い感じもあり、基本的には一人で自由気ままにのんびり生活していました。それはそれで楽しかったんだけど、「これを4年間続けられるな」って思ったんです。

井上: 4年間行けてしまう、と。

中谷: そう、行けてしまうって思った時に、「あ、全然面白くないな」って思って。「この状況を何か変えないと」と思って。そろそろ動き出そうと思い始めていた時に、知り合いが教育系のサークルに入っていて、外部スタッフのようなボランティアを募集していたんです。それで「これって何なの?」ってLINEしたのをきっかけに、見学に行ったのが始まりでした。

井上: 誘われたら断らない性格だから、「いいタイミングだな」と思って動き出したのが第一歩だったのですね。その後、スターベルズの活動にも関わり始め、現執行役員に至るわけですが、私が初めて「スタートアップをやっているんだ」というのをお伝えした時、どう思われましたか?

中谷: どうだろう。「面白そう」と直感的に思ったね。なんか、自分の知らない世界がまたこっちにも広がってそうだなってすごい思ったのがあったかな。

井上: 設立初期で、まだ業績も上がってない、サービスも固まってないような不確実性の高い状況でした。怖いとかはなかったですか?

中谷: 怖いとかは全然ないね。なんでなんだろうね。「よく分からんから怖い」って思うことはあると思うんだけど、俺は「分からんからこそ面白い」って思うようにしていて。何もわかんないから、逆にどうなるか分からなくて面白いなっていう。そこに面白さを感じたのかもしれない。

井上: 「わかんなすぎる」と(笑)。

中谷: そう、わかんなすぎる。自分でもなんだろうって思うな。なんかよくわかんないこととか、偶然の出来事とかがすごい好きで。想像できることとか、想定できることとか、「これやったらこうなるよね」みたいなことは、大体そうなっちゃうから面白くないなってちょっと思っちゃう。

井上:広大に入学するときは、直感で想像できていたんじゃないですか?

中谷: そうですね、そのときは広大に入学する未来が見えて少し嫌でした(笑)。だから、よくわかんないことって、想像の範疇を超えてることじゃないですか。そういうことにすごい驚くというか、ワクワクするのがめっちゃ好きだなって思うね。

井上: 実は、私が中谷さんに声をかけさせていただいた理由の一つがそこなんですよね。おそらくわけのわからない山に登っているのかもわからない状況で、「不完全さを許容できる」というか、わかんないのをわかんないままにしておけるあたりがすごいな、と思って。

中谷: (笑)なるほど。後からよく考え直してみると、なんで俺なんだろうって少し思ったんですよ。別に何かに特化したわけではなく、何かすごい特技があるわけではないから、俺の中のどこに魅力を感じたんだろう、って思って。むしろ拾ってくれてありがとう、という気持ちです。

井上: ありがとうございます! さて、中谷さんは今、将来の夢は特にわからないと仰っていますが、ずっと変わらず考えていきたいことはありますか?

中谷: 昔からずっと思っているのは、「自分の思ってることとか、考えてることが、どれだけ正しいんだろうか、どれだけ社会で通用するのか」という部分は、ずっと考えていきたいし、そういうのを社会にぶつけていきたいな、という風には思っています。

井上: まさに、中学校時代にずっと哲学的に考えていたことですね。今の卒論で教育分野の倫理的課題を研究されているのも、社会の批判や道徳といった分野に惹かれているからだと。

中谷: はい。もちろん「これが絶対正しい真実」みたいなものはないんだろうけど、じゃあその上でどうより良いものを目指していくのか、という部分にすごい惹かれているんです。だから将来、どんな仕事をしているかはわかんないけど、こういうことは考えているんだろうなとは思います。

井上: 最後に、スターベルズの理念として「輝く人が輝く人を育てる」という言葉を置いています。中谷さんにとって、輝く人とはどんな人でしょうか?

中谷: 難しい質問ですね。うーん、自分の気持ちに素直な人というか。そういう人はすごい輝いているなって思います。例えば、すごい嬉しい時は嬉しそうな顔をしてるとか、何かワクワクしている時は、そのワクワクが全面に出てるような人

井上: 確かに。

中谷: もちろん、何かに本気になって怒っている人も輝いているのかもしれないとも思うし。別に怒ったり悲しんだりするのは悪いことではないと思うから、そういう自分の心の中に潜む感情とかに素直になれるような人はすごい輝いているなって俺は思うね。

井上: なるほど。そういう人を見ると、我々も幸せになります。

中谷: いや、本当にそうよ。それ見るだけで幸せになるもん。そういう人が輝いているな、と思います。

井上: 中谷さん、3回にわたり貴重なお話をいただき、ありがとうございました!

中谷: ありがとうございました!

(聞き手:株式会社スターベルズ 代表 井上遊星)

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